2015年6月30日火曜日

住宅2軒の竣工写真を撮影しました


昨日は「横浜の二世帯住宅」と「築100年の古民家再生」の竣工写真を撮影してもらいました。写真は築100年の古民家再生撮影風景です。
いつも撮影してもらっているカメラマンさんなのですが、建物の魅力を敏感に感じ取り撮影してくれます。横浜の二世帯住宅では、撮影時間は長くなってしまうのですお子さんの入った写真を多数撮影してくれました。
2軒とも写真の完成がとても楽しみです!!
完成したらブログでもお伝えしますね。
【住環境性能+Design住宅 森建築設計】

2015年6月28日日曜日

消費税10%への増税、住宅購入の注意点


2017年4月1日(平成29年4月1日)に消費税が10%に引き上げられようとしています。住宅は高額商品のため、8%から10%、2%ですが購入時の負担が資金計画にも大きな影響を及ぼします。2千万円の住宅で差額40万円、3千万円の字住宅では差額60万円の増税額となるので、建築計画がある方は注意しましょう。

住宅購入にともなう増税期日について説明しますね。注文住宅の場合は、工事の契約から完成引渡しまで期間が長いことから「経過措置」も設けられています。まずは単純に平成29年3月末までに引き渡しを行えば消費税額は8%が適用されます。一般的な木造住宅であれば工事期間は4か月~5か月なので平成28年11月に着工すれば間に合いそうですが、正月休みが入ることと増税前の駆け込み需要による職人不足など控除すると、遅くとも平成28年10月に着工できるように計画を進める必要があります。

では消費増税施工日をまたいで工事を行う場合はどうなるのか?

このケースは契約締結日で消費税額が決まります。平成28年10月1日が税額が決まる指定日となっていて、胚性28年9月末までに契約すれば税額8%が適用されることとなるのです。

次に設計事務所の設計で住宅を建てる場合のスケジュールについて解説します。
平成28年10月に着工するためには、遅くとも平成28年4月1日に設計を開始する必要があります。そのためには3月中に設計監理契約しなければいけないので、来年早々に設計者の選定が必要となります。

最後にもう一つ注意点です。消費増税前にはハウスメーカーの大キャンペーンがあるもとと思います。消費税8%への増税のときと同じように購買意欲をあおる広告が氾濫するでしょう。ですがローン控除の拡大や固定資産税軽減措置などで増税後の負担を軽くする措置がとられる可能性が高いです。消費増8%への増税時にはむしろ増税後の方が総支払額が低かったくらいです。本当に増税前に建設すべきかどうか情報収集をする必要があります。
【住環境性能+Design】 森建築設計

2015年6月27日土曜日

衣替えする家


6月に入り冬ものと夏物の洋服を入れ替え、衣替えをした方も多いことでしょう。日本には四季があり夏は高温多湿で半袖でも暑い日々が続き、冬は氷点下になり外水道が凍る日もあります。洋服を衣替えするように、住宅でも夏仕様と冬仕様があってもいいと思いませんか?

私が目指しているのは自然エネルギーを有効活用した、四季を通して快適な住宅です。氷点下になるような真冬の気温では高断熱高気密の性能が快適性や健康性、さらに省エネ性に大きく貢献します。ですが30度を超える真夏の季節では真冬程の断熱気密性能は必要ありません。逆に高断熱とすることで真夏の冷房費が増加する結果となるのです。春と秋の中間期は窓を開放して過ごすので通風性能の方が重要です。通風と言えば夏の冷房費を削減するためには換気回数20回以上の通風性能を持たせることで快適性が向上するだけでなく冷房費を大きく削減できるのです

このように四季のある日本では四季それぞれに必要な断熱気密性能と通風性能があるのです。

次に快適性について考えてみましょう。高断熱高気密の住環境性能は基本的に冬に必要な性能です。部屋ごとの室温差が小さくなり、また上下温度差も小さくなります。さらに周壁表面温度が上がり快適性と健康性が大きく向上します。北海道や東北など北欧に気候が近い地域ならば冬を重視した高断熱高気密住宅でいいでしょう。では東京や神奈川などの比較的温暖な地域よりも南の地域ではどうでしょうか?

温暖な地域では春~夏~秋の3シーズンは窓を開け開放的な設えのなかで得られる快適性を追求してきた文化があります。単に昔に倣えといっているのではありません。昨今の温暖化により100年で平均気温は3℃上昇し外気温が35℃を超える日も多くなりました。ヒートアイランド現象によりる屋外地表面や建築物外壁の温度も上昇しています。そして真冬には氷点下になるというように季節により気温が大きく変動する厳しい四季があるのです。

春、夏、秋、冬と気候が大きく変わるなかで私が目指しているのは、北欧系の単に高断熱化した無味均一な快適さではなく、自然と応答する中で得られる「清々しさ」や「爽やかさ」といった人間の感覚に感応する快適さの質です。高断熱高気密化した閉鎖的な住宅と、日本人の精神に根付いた開放的な住宅の、両者の年間一次エネルギー消費量が等しければ省エネ性能は同等です。冬は高断熱高気密で閉鎖的で、春~夏~秋は開放的な設えとなる住宅を取捨選択型と言います。単に閉鎖的な住宅を目指すのか、取捨選択型の住宅を目指すのかで完成する住宅様式は大きく変わります。

閉鎖的な住宅と比べると取捨選択型の住宅は環境性能計算が数倍難しくなりますが、私は省エネ性能は確保しながら自然と応答する中で得られる情緒的な快適さのある住宅を提案しています。四季それぞれに必要な性能に合わせて衣替えする家、日本の気候風土にふさわしいパッシブデザインです。

2015年6月26日金曜日

自然派住宅の大規模リフォーム



建築家紹介センターで「自然派住宅の大規模リフォーム」が紹介されました。
減築リフォームについて紹介いただいた記事になります。
http://kentikusi.jp/dr/node/10059

改修工事の一種なのですが、既設建築物の一部を撤去する建築行為が減築です。
減築リフォームというと、既設建築物の一部を撤去しながら行う改修工事という意味になります。
 例えば、既存2階床を撤去して吹抜け空間とする、2階を撤去して平屋とする、不要となった部屋を撤去して庭にするなど、床面積が減少するような改修工事を減築と呼ぶことが多いです。自然派住宅の大規模リフォームでは、2階寝室2室と撤去してルーフバルコニーに改修しました。

興味ある方は建築家紹介センターの記事をご覧ください。

建築的な積木

保育園で作っていた積木がなんとも建築的でよくできていたので思わず写真撮影してきました。微妙に歪んでいるところがまた良いですね。リカルド・ボフィール設計の集合住宅かと思いました。

この積木、正式名称はカプラといいます。ウィキペディアによると次のように記されています。
カプラ (kapla) はオランダ人 Tom van der Bruggen によって考案された、積み木の一種である。カプラという名前はオランダ語の "kabouter plankjes" (小さな板) に由来する。
その厚さ、幅、長さ (117,4 mm) の比は1:3:15であり、この寸法はすべてのカプラシリーズで同じである。組み立てにはどのような他の部品も必要がなく、ただ木片の上に他の木片を積み上げて行くだけで複雑な構築物まで作ることができる。

建築物省エネ法案についての講習会を開催します

 

【必見!2020年までの省エネ基準適合義務化の第一弾 !!
 建築物省エネ法案についての講習会】

私の所属している神奈川県建築士会技術支援委員会建築環境部会で省エネ法に関する講習会を開催します。当日、私は司会をする予定です。講習会費は無料です!!
2020年までの省エネ基準適合化までの政策や省エネ関連の補助金など総まとめで理解いただける重要な講習会となっています。この機会に是非お申込みください。

日時 : 平成27年7月11日(土)
     13:55~16:50(受付開始 13:30)
会場 : 横浜情報文化センター6階 情文ホール
        (横浜市中区日本大通11番地)
講師 : 国土交通省 住宅局 住宅生産課
      建築環境企画室 課長補佐 宮森 剛(みやもり たけし) 氏
対象 : 建築士会会員 ・ 一般 ・ 学生
会費 : 無料
募集人数 : 200名(先着順)

◎詳細・お申し込みは こちらのURLをご覧ください
http://www.kanagawa-kentikusikai.com/osirase/annai/h270711kankyo.pdf

10年で120万、20年で240万円削減 「家電」

6月18日のブログで「10年で120万円得する家づくり」
→http://moriken1ro.exblog.jp/21355867/
6月24日のブログでは「10年で120万、20年で240万円得する家づくり」→http://moriken1ro.exblog.jp/21375888/
として省エネ意識のない設計事務所や工務店が作った家と省エネ意識の極めて高い設計事務所が設計した家では、最大で年間12万円、10年で120万円のランニングコスト差が生じるということをお伝えしました。
今日も省エネ意識に関連する無いようなので、もしこれら二つのブログをまだ見ていない方がおりましたら先に二つのブログをご覧いただいたほうが理解が高まります。

では本題です。今日は居住者の省エネ意識で家電の電気代がどのくらいかわるのかを解説します。
住宅の消費エネルギー量は作り手側の省エネ意識だけではなく、実は住居者の省エネ意識でも大きく変わります。中でも家電の消費割合がとても大きいのです。省エネ意識のまったくない家庭では家電の電気代は年間7万円。対して省エネ意識の極めて高い家庭では年間3万円です。その差は年間4万円、10年で40万円もの金額になるのです。毎年4万円をドブに捨てているようなものですね。

家電の中で消費エネルギーが大きいのは冷蔵庫、テレビ、便器です。消費電力の大きい物、毎日使うものは消費エネルギー割合が大きくなります。家電の省エネ技術はここ10年で大きく進歩していますので、冷蔵庫とテレビはもし10年以上前のものを使っているのであれば即刻買い換えた方がいいくらいです。

家電を買い換える時には商品仕様の消費電力を確認しましょう。最近のカタログには使用時の消費電力と、一般家庭で一年間使った時の平均年間消費電力の両方が記載されているものが多いです。
消費電力はw(ワット)またはkw(キロワット)、年間消費電力はkwh(キロワットアワー)で表示されています。
このkwhで電気代を計算できるのです。

東京電力の従量電灯契約の電力量は以下になっています。
最初の120kWhまで → 電力量単価19.43円【第1段階料金】
120kWhを超え300kWhまで → 電力量単価25.91円【第2段階料金】
上記超過 → 電力量単価29.93円【第3段階料金】
家庭1軒あたりの電力使用量平均は約280~300kWhですので電気代を計算するときには24円/kwhとして計算することが多いです。

カタログに記載されているkwhに24円を乗じると年間の電気代になるのです。
現在お使いになっている家電が旧型で年間消費電力記載がない場合は、年間消費電力の記載がある機種の消費電力との割合で年間消費電力を換算すれば大よその年間電気代を計算できます。旧型の家電を使っている方は買い替えした場合の電気代を是非一度計算してみてください。

第三回 建築環境のバイオクライトロジー

昨晩は宿谷教授のセミナーに出席しました。オイコスフォーラム主催の連続セミナーで、「建築環境のバイオクライマトロジー」シリーズの三回目の講義です。

さて、写真は何だかわかりますか?

これは「水飲み鳥」という玩具です。玩具といってもは基本的には熱機関であり、温度差を利用して熱エネルギーを運動エネルギーに変換して仕事を行ういます。軸を中心にあたかも鳥が水を飲むように「お辞儀」を繰り返し動くのです。熱力学の成り立ちを理解する手助けとして紹介されたものです。その場で実践してくれたのですが、お辞儀を繰り返す様はとても可愛いかったです。

昨晩の講義は次回の「エントロピーとエクセルギー」講義の序章、基礎知識を身に付ける内容でした。基礎知識といってもこれが難しい。どんな分野でも根本原理は最も難しく、最も重要といえるかもしれません。昨晩の講義はまさに建築環境を理解するための基礎中の基礎、「熱とは何か」、「仕事とは何か」という概念の解説をしていただきました。1cal(カロリー)=4.186J(ジュール)という換算式は知っていても、ではcal(カロリー)って何?、J(ジュール)って何?W(ワット)って何?と問われると途端に答えられなくなってしまいますよね。

昨晩はこの基本的な概念を2時間かけて懇切丁寧に解説いただきました。
なのに私の頭の中は???状態で、とてもこのブログで解説はできません。次回の講義前までに復習しなくては。

10年で120万、20年で240万円得する家


6月18日のブログで「10年で120万円得する家」と題して、断熱気密性能の向上と太陽光と通風などの自然エネルギーの有効活用による省エネ設計、さらに高効率設備や家電の導入による光熱費削減額を解説しました。写真は空調関係費の削減額を示す図表です。詳しくは18日のブログで解説していますので興味ある方はご覧ください。
http://moriken1ro.exblog.jp/21355867/

一つだけ追記で説明しておきます。単に高断熱化すればこの図表の削減効果があるというものではないのでお間違えないようご注意ください。図表で示した削減額は省エネ設計も行った場合の削減額です。単なる高断熱化だけでは年間1万5千円、10年で15万円程度削減額が小さくなります。

さて今日は実際の光熱費について解説します。なんせ10年で120万円、20年で240万円の削減効果があるのですから毎日の生活に直結するとても大きな問題です。住宅ローン金利ばかり気にするのではなく、日々のランニングコストにも気を配る必要があるのです。そして設計段階に定量的な数値で確認する省エネ設計を行い、工事費とランニングコストをトータルで検討する必要があるのです。

光熱費は省エネ意識の高い設計者または施工者の住宅と、省エネ意識のない設計者または施工者の住宅では大きな開きが出ます。また単なる高断熱化や高効率設備の導入で達成できるものではありません。
例えば高効率給湯器について消費エネルギー量を考えると、機器の純粋な効率だけではなく、節水型水栓やシャワーヘッド、配管長さ、配管径、給湯機の設置位置(方位)などにより消費エネルギー量が変わるのです。このような地道な積み重ねを設計段階から行わないと最大限の光熱費削減は得られないのです。

では省エネ化の取組によりどの程度光熱費に開きが出るのか見てみましょう。試算条件は述床面積100m2、東京や神奈川など比較的温暖は6地域の4人家族という想定です。
1、省エネにまったく無関心な事業者の次世代省エネ基準レベルの住宅(6地域)
  →年間光熱費20万円
2、省エネに関心がない事業者の次世代省エネ基準レベルの住宅(6地域)
  →年間光熱費18万円
3、省エネに関心が高い事業者のトップランナー基準レベルの住宅(6地域)
  →年間光熱費14万円
4、省エネに特に関心が高い設計事務所が設計した住宅(6地域)
  →年間光熱費10万円

このように最大で年間10万円もの開きが出るのです。さらに空調機交換費用まで含めると年間12万円、10年で120万円、20年で240万円という差が生じます。設計段階からの省エネ意識がいかに大切かを理解いただけたら嬉しいです。
  

homifyマガジンで「そらまどのいえ」が紹介されました

homifyマガジンで「そらまどのいえ」が紹介されました。
「そらまどのいえ」は南側隣地に東西に伸びるアパートがあることから日照と通風の取得が難しい敷地という条件から、南側高窓を設けて日照と通風と得ながら夏季は放射冷却した冷気を室内に溜め込むよう計画した住宅です。

竣工写真と私の解説を基に記事にしてくれました。是非ご覧ください。
https://www.homify.jp/ideabooks/28999

時代の要請~省エネ建築~


人間の健康と快適性、それと共に省エネは、調和のとれたあり方で統合されなければいけません。これは時代の要請です。そして設計事務所においてはさらにデザインをも統合させる必要があります。これが現代の建築家に求められる能力です。

それぞれを統合させる段階では、細かい部分において問題が生じるかもしれない、また技術的に可能なことが消費者にとってすべて良いわけではありません。全ての関係者にとって大切なことは、省エネコンセプトを巡って知恵を絞る際に、「はるかに度をこさないこと」です。依頼者の経済的に負担可能な範囲内において、方向性と可能性がいくつかあり、それぞれ価格面での比較を含めて全体構想を提示することが望ましいです。
複雑怪奇で、お金のかかるハイテクな解決は、むしろ負担に感じられる。目標は単純で、利用者にとって後追いできる解決であるべきなのです。

省エネとは。。。
熱損失の低減のみならず、地域の気候にふさわしい建築工法、良き建築地(配置)の選択、正しい住宅設備、太陽放射からの熱取得、太陽放射の遮断と通風利用、使用方法の説明によって達成されます。

例えば暖房エネルギー消費量は「外皮のU値によってほぼ決まる」とよく言われますがそれは事実ではありません。暖房エネルギー消費量を決める要素は数多くあるのです。そのうち主なものを挙げてみます。
 ・気候、環境からの影響
 ・建物の向き
 ・建物の形
 ・空間のゾーニング
 ・屋外部材と屋内部材の断熱性能と蓄熱性能
 ・熱橋
 ・建物の気密性
 ・換気
 ・暖房設備
 ・内部発熱
 ・熱取得量
 ・アクティブソーラーエネルギー

重要なのは建物の設計初期段階からこれらの要素のほとんどを考慮に入れて相互にマッチングさせることです。この設計初期段階でミスが起こると、それを後から手直しすることは不可能といっていいほど難しいのです。そのためには優れた設計者ないしは設計チームに依頼する必要があります。

上記のように、暖房エネルギー消費量の削減だけでも考慮すべき要素は数多くあります。冷房エネルギー消費量の削減、給湯エネルギー消費量の削減、家電消費量の削減、照明エネルギー消費量の削減など、それぞれにおいて考慮すべき要素が沢山あり、さらに人間の快適性と健康性、造形デザインと調和を図る必要があるのです。

設計事務所の住宅は高いのか?


昨日、一昨日とコストに関する情報をお伝えしました。今日は建築相談で必ず質問にある住宅建設コストについてお伝えします。住宅計画の依頼先はハウスメーカー、地域工務店、設計事務所など様々ですが、依頼先別の建設総予算を解説いたします。

設計事務所の住宅は高い。これは一般の方々の認識のようですが実は違います。中には高価な住宅もありますが、相対的にみると設計事務所の住宅は決して高くはありません。ざっくりしたお話としては中堅ハウスメーカーと同程度のコストで建設が可能です。

建設予算は建物本体工事費だけではなく付帯工事や諸経費、設計監理費や消費税などを合算したものです。依頼先別の建設予算を試算したものがあるのでご紹介しましょう。建設地は東京、神奈川を想定しています。またハウスメーカー住宅は述べ床面積100m2(30坪)で試算しました。設計事務所では1割程度のコンパクト設計が可能なので延床面積89m2(27坪)で試算しています。
 ・ローコストハウスメーカー :2170万円
 ・中堅ハウスメーカー    :2650万円
 ・大手ハウスメーカー    :3140万円
 ・地域工務店         :2650万円
 ・森建築設計(スケルトン)   :2380万円
 ・森建築設計(中仕様)   :2670万円
 ・森建築設計(高仕様)   :2900万円
 ・他の設計事務所(中仕様):2700万円

一般の方の認識と実際の違いはどこから生じるのか?
まずはハウスメーカーが広告等で公表している工事費(坪単価)に惑わされていることがあります。ハウスメーカーが公表している坪単価は純粋な本体工事費であって外部給排水工事費や照明器具などは入っていません。また多くの工事項目をオプション扱いとしているので最終的な坪単価は公表価格から15万円程度上がるのです。二つ目は先に説明した延べ床面積の違いです。同面積で比較すると設計事務所の方が設計監理費分高くなりますが、設計事務所ではハウスメーカーよりも1割程度面積を縮小させながら広がりのある空間を作ることができるので結果的に中堅ハウスメーカーと同程度の予算で建設することができるようになりなります。

いかがでしょうか。中堅ハウスメーカーと同程度の予算で建てられるなら、施主の立場でデザインや現場監理をしてくれる設計事務所へ依頼したほうがいいとは思いませんか?
一昨日のブログではランニングコストを10年で120万円削減させる住宅のご説明をしています。是非ご覧ください。

太陽光発電30年使用後の収支


昨日は断熱性能を向上と自然エネルギーを有効活用する省エネ設計による空調関係費の削減額等について詳しく解説しました。10年で50万円、20年で100万円もの削減が可能となるのでまだ記事を見ていない方は是非昨日のブログをご覧ください。

さて今日は住宅のランニングコスト削減方法として一般の方々が真っ先に考える太陽光発電について解説します。まず第一にお伝えしておきたいことは、太陽光発電パネルを導入しても住居環境の快適性は向上しないということです。断熱性能の向上と自然エネルギーの有効活用による省エネ設計では快適性が大きく向上します。同じ省エネですが大きな違いがあることを最初にお伝えしておきます。

太陽光発電の広告等では、太陽光発電導入による電気代の削減をアピールして導入を促しています。しかじ実際にはメーカーや工事業者の広告のように甘い物ではありません。では実際に30年使用したときにはどの程度の費用対効果があるのか試算してみましょう。
【設定条件】
・設置容量:4kw
・設置費用:155万円(消費税込み、市区町村の補助金分を削減しています)
・借入支払:住宅ローンの一部として金融機関から借入
        金利1.0%、借入期間30年、総支払い額は180万円
・設置状況:真南、屋根角度30度、設置場所は横浜市
・売電価格:当初10年間33円/kwh、11年目以降25円/kwh
・維持費用:10年ごとにパワコンを交換、交換費用21万円
・電気代削減額:当初10年間は年間13万2千円、11年目以降は年間10万8千円

以上の設定条件で30年間の収支計算をしてみましょう。
①30年後に太陽光パネルが故障して放置した場合
 削減額348万円―ローン支払い額180万円―パワコン交換費2回分42万円=126万円
 実質利回り2.69%(126万円/30年÷155万円×100)
②30年後も太陽光パネルが故障して撤去した場合
 削減額348万円―ローン支払い額180万円―パワコン交換費2回分42万円―撤去費60万円=66万円
 実質利回り1.42%(66万円/30年÷155万円×100)
③30年後も正常に稼働している場合
 削減額348万円―ローン支払い額180万円―パワコン交換費3回分63万円=105万円
 実質利回り2.25%(105万円/30年÷155万円×100)

30年後も正常に稼働しているのか、または故障して交換が必要なのか、はたまた撤去するのかにより収支はかなり変わることが分かると思います。30年で幾ら得すると考えるか、投資と考えて実質利回りで考えるのかによっても判断は分かれるでしょう。いずれにしても太陽光パネルメーカーや設置業者の広告のような夢のような甘い話ではありません。

断熱性能の向上と自然エネルギーを有効活用する省エネ設計による空調関係費削減額は30年で150万円です。どちらを優先させるべきか明白です。

10年で120万円得する家づくり

断熱性能と気密性能、太陽光と通風の効果的な利用、高効率給湯器の使用などにより、10年で120万円ものランニングコストを削減できることをご存知ですか?

断熱性能の向上だけではここまで削減はできません。また高効率機器の利用だけでもここまでは削減できません。太陽光と通風を効果的に利用するパッシブデザインは快適な室内環境を得るだけではなく、省エネ性と経済性にも大きく貢献するのです。
そしてこのパッシブデザイン住宅は、画一的な家づくりのハウスメーカーと温熱に無関心で住環境性能の計算による確認を行わない設計事務所(建築家)の住宅では決して手に入れることはできないのです。

では10年で120万円ものランニングコストを削減できる内訳をご説明しましょう。
高効率給湯器の利用で40万円削減、照明器具と高効率家電で30万円、住環境性能の定量的な把握による空調関係費の削減額が50万円になります。
内訳を見ていただければ分かりますが、住環境性能を計算で確認することによる削減額が最も大きいのです。住環境性能の定量的な把握の主目的は「快適性」の追求ですが、結果的に大きなランニングコスト削減にもつながるのです。

次に空調関係費の削減額50万円の内訳を細かく見てみましょう。
写真は東京や神奈川など比較的温暖な地域(6地域)で、延床面積100m2(30坪)の住宅の空調関係削減額を示す表です。冷暖房方式はヒートポンプエアコンの部分間欠冷暖房方式でシュミレーションしています。
現在標準的な断熱仕様となっている平成11年告示(次世代省エネ基準)を基準とした削減額を示しています。基準値は冷暖房費50万円(年間5万円)、空調機器交換費40万円で合計90万円です。
Q値2.1W/m2K:10年間の削減額50万円(冷暖房費による削減額30万円、空調機交換による削減額20万円)
Q値1.5W/m2K:10年間の削減額35万円(冷暖房費による削減額25万円、空調機交換による削減額10万円)

ハウスメーカーのように単に高断熱化した住宅では、冷暖房費の削減額は10年で20万円が限界です。
温熱に無関心で住環境性能を計算で確認していない設計事務所の住宅も同様です。
住環境性能の定量的な確認によりここまでの削減が可能なのです。快適性が大きく向上し、20年で100万円もの空調関係費を削減できるお財布にも優しい家づくりについて詳細を知りたい方は森建築設計までご連絡ください!!
【住環境性能+Design住宅 森建築設計】