2016年10月25日火曜日

パッシブデザイン解説 8「間取りと室内環境」



明日からまた小笠原へ行ってきます。小笠原で施工中の3件の現場監理でここ数か月は毎月月末のペースです。内地は長袖でも寒くなってきましたが小笠原はどんな気温でしょうか。小笠原へ着いたらブログUPします!!

さて、今日はパッシブデザイン解説シリーズ 8回目、「間取り」について解説します。
パッシブデザインの間取りで注意しているのは、開放的ななかに落ち着けるスペースを設けることです。
家のなかを極力間仕切りのない開放的な空間とすることで、夏の通風効果を高め、冬の室内環境を安定させることができます。居室から廊下へ出ると寒いということがなくなるのですね。反面、開放的にするとプライバシーの低下、音や臭いの問題などが発生します。こららの問題をクリアしながら各人が落ち着けるスペースを作ってあげるようにしています。

開放的な空間とするための建築手法としては第一に引戸があげられるでしょう。開放できる引戸はとても重宝します。引戸やドア上に欄間を設けたり開閉式の通風子扉を設けてドアを閉めた状態でも通気できるようにすることもあります。天井まで壁を立ち上げず1,5mや2.0mの高さで止めることで開放性を高めながらプライバシーの度合いを調整することもできます。開放性の制御の方法はいろいろあるわけです。

あとはそうでね、断熱性能が高まってきたことで吹抜けを作っても不快感を感じないようになってきましたが、吹抜け上部の窓からのコールドドラフト(冷風落下)と上下温度差の問題は残ります。基本は断熱性と気密性を高めることで上下温度差は小さくなるのですが、さらに次のような方法でより快適な環境になるようにしています。吹抜け上部には大きな窓は設けない、吹抜け上部にプロペラファンや小さなエアコンを設置して夏稼働させることでずっと快適になります。

1室空間の大きさは窓の大きさのバランスを図りながらプラニングしています。窓から入ってくる日射熱量と部屋から逃げていく熱損失量のバランスを取ることで真冬でも暖房機なしで快適な環境を作ることができるのです。もちろん光の入り方や窓外への視線の抜けなども考慮が必要です。パッシブデザインは常に光と風を感じながらプラニングする必要があるのです。

【光と風と五感に素直な建築 森建築設計】
パッシブデザイン解説ブログの目次
1、「パッシブデザインとは」:http://moriken1ro.exblog.jp/22984641/
2、「パッシブデザインのきっかけ」:http://moriken1ro.exblog.jp/22998193/
3、「パッシブデザインのメリット」:http://moriken1ro.exblog.jp/23011141/
4、「パッシブデザインのデメリット」:http://moriken1ro.exblog.jp/23079133/
5、「パッシブデザインで注意している事」:http://moriken1ro.exblog.jp/23096967/
6、「事例、町田のナチュラルハウス」:http://moriken1ro.exblog.jp/23210537/
7、「パッシブデザインの設計手法」:http://moriken1ro.exblog.jp/23287562/
8、「間取り」:http://moriken1ro.exblog.jp/23314329/
9、「パッシブデザインの認証制度」:http://moriken1ro.exblog.jp/23341651/
10、「パッシブデザイン建築を建てたい方へ」:http://moriken1ro.exblog.jp/23464956/

2016年10月21日金曜日

工事中の計画3件の打合せ


土曜と日曜日は工事中住宅の打合せを3件させてもらいました。
1軒目は「本の家」
2軒目は「ルーフバルコニーハウス」
3軒目は「ガーデンサロン北千束(東京都大田区の賃貸併用住宅)」
写真は3件目のシェアハウス部分の完成予想パースです。

さて1軒目の「本の家」です。大量の本を収納する場所をどうするか、全ての間仕切り壁を本棚で作るべきかと考えた住宅です。所有されている書籍を計測したところ全ての間仕切り壁を本棚にするほどではないということが分かりましたが、それでも階段室の両面すべてを本棚にしても足りず書斎の大部分を本棚にしてようやく収納できる住宅となりました。そんな住宅の外装品番確認打合せを行いました。
杉板張りの外壁、金属サイディング、屋根ガルバ色、窓サッシの色を決定しました。

次に2軒目の「ルーフバルコニーハウス」です。
3方を3階建て住宅と将来3階になるであろう2階建て住宅に囲まれた敷地の住宅です。南側に隣家があり冬の陽ざしは2階の高窓からしか入らない、しかも敷地が南北に対して40度くらい傾いている条件でした。住宅は敷地に合わせて配置し、高窓は日射の有効利用が可能となるよう真南に向けて設置しました。北側に大きなバルコニーを設けて目隠しパネルで反射させた光を室内に導くプランとなったことからルーフバルコニーハウスと名付けました。今回の打合せでは内装の品番を確認しました。
床杉板の塗装色、壁クロスと珪藻漆喰の色柄、天井のクロス品番、木製建具の色を決定しました。

最後に「ガーデンサロン北千束」です。
東京都大田区北千束で計画中の賃貸併用住宅になります。昨日の打合せではスイッチコンセント位置の現場確認と内装の品番確認をいたしました。スイッチコンセント位置の確認では、すべてのスイッチと連動する照明器具の位置、コンセント位置と高さなどを現場で一つ一つ確認しました。その後に内装の品番確認をいたしました。
床杉板の塗装色、内壁和紙クロスの品番、天井クロスの品番、木製建具の色柄、シェアハウスのキッチン仕様などを決定いたしました。写真はシェアハウスのLDKスペースです。ガーデンサロンの名前の由来となったプライベートガーデン(庭)を綺麗に見せるため庭側内壁をダークブラウンの和紙張りとするよう提案して気に入っていただきました。他に濃いめに着色する木部、キッチンの壁ポイント柄として提案した桜色のモザイクタイルも大いに了承いただきました。

ルーフバルコニーハウスの三角吹抜けが面白い


昨日は「ルーフバルコニーハウス」の現場監理へ行ってきました。私自身がこの現場を訪れるのは基礎配筋検査依頼となりますので、建物が立ち上がって初めてみる姿に感動しました!!日頃の監理は写真右奥に幽霊のように立っているスタッフが毎週行っています。上棟時などの現場監理情報は下の「スタッフブログ」でご覧いただけますのでご覧くださいませ。
http://morikentiku.at.webry.info/

さーて「ルーフバルコニーハウス」です。南からの採光が難しい敷地ということから北側に大き目のバルコニーを作り、目隠しパネルに反射した柔らかな光を北側のリビングに導くというプランです。そしてこの住宅の二つ目の特徴が南側直射光を高窓から導くというものです。敷地は南北に対し35度くらいの角度があったので真南に近い方向を向く高窓を建物の上に乗せたような形状です。ですのリビングダイニングの上には写真のような三角形の吹抜けができました。普通の吹抜けと違い、三角形の吹抜けとそこから落ちてくる光は独特のものとなります。
これから窓サッシが取付けられ、仕上げが施されてくることになります。その都度このブログでもご紹介していきますので時々ブログ訪問をお願いいたします!!
【住環境性能+Design住宅 森建築設計】

2016年10月14日金曜日

パッシブデザイン解説 7「パッシブデザインの設計手法」


パッシブデザイン解説シリーズとして「パッシブデザインの設計手法」についてお話しします。
パッシブデザインの設計手法としては採光、通風日射取得日射遮蔽熱利用(地熱、放射冷却熱、気化熱など)
色選定など様々な手法がありますが、最も重要なのは適切な断熱性能を確保することです。上記の様々な手法を活かす為にはまず第一に適切な躯体性能が必要なのです。例えば通風利用を考えたとき、適切な窓位置で通風性能を上げたとしても、断熱性能が低く外部の日射熱が室内壁面に達しやすい構造では室内の表面温度から受ける輻射熱で体感温度が上がってしまいます。このように断熱性能は冬だけのものではないのです。まず第一に建物躯体の断熱性能を適切な性能に設定する、これがパッシブデザインで最も重要なことです。

断熱性能と日射取得日射遮蔽性能を考えるうえで最も重要な部位は開口部(窓)です。太陽日射と通風利用などを有効活用するパッシブデザインというと採光や通風をどう上手くプランに取り入れるかを第一に目が行きがちですが違います。パッシブデザインで最も重要なことは断熱性能、そして最も重要な部位は開口部(窓)だということを覚えておいてください。

【住環境性能+Design住宅 森建築設計】
パッシブデザイン解説ブログの目次
1、「パッシブデザインとは」:http://moriken1ro.exblog.jp/22984641/
2、「パッシブデザインのきっかけ」:http://moriken1ro.exblog.jp/22998193/
3、「パッシブデザインのメリット」:http://moriken1ro.exblog.jp/23011141/
4、「パッシブデザインのデメリット」:http://moriken1ro.exblog.jp/23079133/
5、「パッシブデザインで注意している事」:http://moriken1ro.exblog.jp/23096967/
6、「事例、町田のナチュラルハウス」:http://moriken1ro.exblog.jp/23210537/
7、「パッシブデザインの設計手法」:http://moriken1ro.exblog.jp/23287562/
8、「間取り」:http://moriken1ro.exblog.jp/23314329/
9、「パッシブデザインの認証制度」:http://moriken1ro.exblog.jp/23341651/
10、「パッシブデザイン建築を建てたい方へ」:http://moriken1ro.exblog.jp/23464956/

2016年10月12日水曜日

料理が楽しくなるキッチン10選で紹介されました

築100年の古民家再生プロジェクトのダイニングキッチンを建築紹介サイトhomifyで「料理するのが楽しくなる素敵なキッチン10選」として紹介してくれています。
今回は料理が楽しくなるキッチンの特集記事で紹介してくれましたが、このキッチンは日本的な雰囲気が好まれるようで同サイトの海外サイトでも何度も紹介されています。それぞれ紹介分が添えられているのですがアラビア語で紹介されたときにはなんだか不思議な感じでした。
下のページで10選に選ばれた他の楽しいキッチンもご覧いただけます。お時間あるときに覗いてみてはいかがでしょうか。
「料理するのが楽しくなる素敵なキッチン10選」
【住環境性能+Design住宅 森建築設計】

2016年10月11日火曜日

パナソニック横浜ショールームで建築家無料相談会を行います

10月8日(土)にパナソニック汐留ショールームで建築家無料相談会を行いました。パナソニックショールームでは土日を中心に定期的に建築家無料相談会を開催しており私のその一員として相談を受けています。
次回の私の担当は10月23日(日)パナソニック横浜ショールームでの相談会を予定しています。相談内容は間取りの相談、機器交換の相談、断熱性能や住居環境に関する相談などなんでも結構です。1組1時間を目途にアドバイスいたします。
お申し込みは下記アドレスページの「建築家に気軽に相談!」記事からお申し込みください。
http://sumai.panasonic.jp/sr/yokohama/campaign.html

【住環境性能+Design住宅 森建築設計】

2016年10月10日月曜日

シェアハウス ガーデンサロン北千束の構造見学会を開催しました


昨日、東京都大田区で建設中の賃貸併用住宅の構造見学会を開催しました。賃貸部分はシェアハウスとして私が設計し、私が副代表を務める「感共建築ラボ」でプロデュースしています。今回の構造見学会も感共建築ラボで開催しました。構造見学会は完成後では見ることができない構造部分や断熱材充填部を見て確認できます。平面断面プランと構造は密接に関係していますし、断熱材の充填技術によって断熱性能と気密性能が大きく変わり完成後の瑕疵にもつながる恐れもあるのです。完成後では見ることのできない重要な部分を確認しながら設計意図や施工品質の説明を聞くことができるのが構造見学会です。

さて、昨日の構造見学会は感共建築ラボメンバーの関係者だけでなく配布したチラシ効果で計画地近くにお住いの方々にご来場いただき忙しい一日となりました。来年1月には完成後のオープンハウスを開催する予定です。このブログや感共建築ラボSNSで情報発信していきます。

【住環境性能+Design住宅 森建築設計】

2016年10月7日金曜日

木の伐採体験・見学ツアー


昨今の住宅は柱や梁がボードで覆われてしまうものが多いので内部に隠れた構造材まで気にしない人が多いようです。断熱性能や通気性能などもそうですが、私は目に見えない部分こそ重要視して設計しています。普段は見えないかもしれない構造材ですがどのような材が使われているのか知りたくないでしょうか?

さて、今回お知らせするのは私が標準的に使っている静岡県天竜地域の葉枯らし天然乾燥材「天竜T.S.」の伐採体験・見学ツアーです。天竜T.S.ではシロアリや腐食の原因となる養分が少ない時期に伐採し、その場で葉枯らし乾燥、そのご1年近く天然乾燥させています。伐採日時を1本1本記録するトレーサビリティーシステムにより自分の家の使われた構造材がどこで何時伐採されたものなのか、住宅引き渡し時に履歴書を受け取ることもできます。

このように手間暇かけて木を育て森を守っている森林組合の主催する伐採体験・森林見学ツアーのお知らせです。お子さんにとっても良い体験になることと思います。
参加されたい方は森建築設計までご連絡(メール)ください。開催期日直前の場合は天竜T.S.組合に直接申し込みいただいても結構です。
メール:info@mori-ken.com
【住環境性能+Design住宅 森建築設計】

2016年10月4日火曜日

大岡山駅近くのシェアハウス現場見学会を開催します


東京都大田区北千束で構造見学会を開催します。
森建築設計で設計監理しております賃貸併用住宅の賃貸(シェアハウス)部分の構造体と断熱材が見える状態での見学会になります。
竣工後では見ることのできない最も重要な部分を見ることができる貴重な見学会ですのでこの機会にぜひ現場へお越しください。

日時:2016年10月9日(日)10時~12時、14時~16時
場所:東京都大田区北千束1丁目8-22
最寄駅:大岡山駅徒歩8分、洗足駅徒歩7分
※見学会にご予約は要りませんが入場には住所・氏名・メールアドレスの記載が必要です

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