2017年6月21日水曜日

断熱性能と室内環境の関係


昨日、神奈川県建築士会 建築環境部会主催のショールーム体験見学へ行ってきました。
私は冒頭の挨拶で、建築環境部会の活動を10分ほど紹介させていただきました。
訪れたのは品川にあるYKK体験型ショールームです。パッシブハウスジャパン主催の見学会で一度見学したことがあるので私自身は2度目の体験見学になります。

このショールムの特徴は窓の性能を自分の感覚で体験できることです。窓単体の断熱性能、日射遮蔽性能、遮音性能などをずらりと並んだ性能の違う10種類以上のサッシで体験できます。さらに、昭和55年基準からパッシブハウス基準まで5段階の性能の違う部屋を体験できる「断熱効果の体感ROOMゾーン」は窓だけでなく家全体の性能を考える上で貴重な体験ができるのです。

このようなショールームは一時に10人ほどの人が部屋に入ることになり実際の生活環境とは微妙な差が生じるのですが、それでも性能を違いをはっきりと感じることができます。昨日の体験時の温度や表面温度などを列記してみましょう。
Ua値0.8(平成25年基準):室温度21.4℃、上下温度差2.0℃、床表面温度16.2℃、廊下室温度11.9℃
Ua値0.56(HEAT20Ⅰ):室温度21.9℃、上下温度差1.4℃、床表面温度17.9℃、廊下室温度13.9℃
Ua値0.51(HEAT20Ⅱ):室温度22.8℃、上下温度差1.4℃、床表面温度19.5℃、廊下室温度16.9℃
Ua値0.19(パッシブ基準):室温度22.6℃、上下温度差0.9℃、床表面温度19.6℃、廊下室温度19.2℃

Ua値0.8(平成25年基準)は2020年に義務化されるといわれている最低基準です。この基準ROOMを体感してみると、かなり寒いということがよく分かります。体験ROOMの環境を体験してみると私自身は最低でもUa値0.51(HEAT20グレードⅡ)性能が必要と感じます。この感想は前回体験した時と同じでした。森建築設計では現在標準仕様でUa値0.45程度(換算Q値1.70程度)で性能設定しています。ここまで性能を上げれば廊下の室温が15℃以下になることはほとんどありません。
最後に、室内環境を考える時に断熱性能だけでなく、日射取得性能・日射遮蔽性能、換気性能も計算で確かめながら設計しなくてはいけないことを言っておきます。断熱性能は冬の窓を閉じた状態の快適度を知る指標にすぎません。日射取得性能は暖房消費エネルギーに影響し、日射遮蔽性能と換気性能は中間期から夏季の快適度と冷房消費エネルギーに大きく影響を与えるのです。断熱性能だけに特化することなくバランスの取れた設計をしなくてはいけません。その為には換気性能まで計算で確かめることが特に重要なのです。

【太陽と風と人の五感に素直な建築 森建築設計】

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